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ゴルフ哲学

ゴルフ上達方法は、沢山ボールを打つ事ではありません。人が行うゴルフスイング動作は特別な動作ではなく、issueを特定し、知覚と意識に目を向ける事が上達には欠かせません。

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最終的な目的は、心技体の練成であり、それによって立派な人間になることである。

スポーツの世界では、以前は存在を知る人が少なかった、メンタルトレーナー、メンタルコーチの重要性が取り上げられる事が多くなった。

昨年話題になったのが、ラグビー日本代表を陰で支えた、スポーツ心理学博士の荒木香織准教授。

今年の初めに、『ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」』を上梓した。

 

ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」 (講談社+α新書)

ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」 (講談社+α新書)

 

 ビジネスの世界でも、交渉術、コーチングなど、またメンタルヘルスやメンタリストなど心に関する本やセミナーが溢れている。

又、経営者にはメンターが必要と言われる。

日本には、古くから「心・技・体」の考えが様々な分野で取り入れられる。

この心技体を、始めに口にしたと言われている人物が、柔道家の道上伯氏である。

道上氏は、生涯、全試合一度も敗戦の経験がないと言う柔道界のレジェンド。

柔道の国際化、オリンピック正式種目採用の立役者。

最初の1歩は、道上氏40歳の時、恩師の指示でヨーロッパに柔道を普及させる目的として、1年間無報酬、往復の航空券のみで送り出される。

行先はフランス。

フランス柔道連盟会長が来日し、柔道指導者の招聘依頼を受けての事だった。

そして、フランスはボルドーに渡り、道上道場を発足。

1年で、日本に帰国する予定が、度重なる懇願を受け、チェニジア、アルジェリア、モロッコにて技術最高顧問となり、運命の出会いとなるオランダへ渡る事となる。

運命の出会いとは、後に柔道世界選手権、オリンピックで金メダルを獲得するアントン・ヘーシンク氏との出会い。

ヘーシンク氏は、道上氏に師事後、柔道がオリンピックの競技種目として初採用された、1964年の東京オリンピックにて、無差別級で金メダルを獲得。

今でもそうだが、お家芸と言われる柔道の無差別級で、日本人が敗退した事は、日本中が当時かなりのショックだったようである。

競技種目の初採用で西洋人が金メダルを取った事は、競技種目として継続のきっかけとなり、ヘーシンク氏は引退後、IOC委員を務め、1992年バルセロナから柔道が、正式種目採用。

道上氏はその後、36か国の地域で柔道の指導をし、晩年はボルドーの道場で生涯、指導に従事。

 

ヘーシンクを育てた男

ヘーシンクを育てた男

 

 116th U.Sオープン選手権が幕を閉じ、メジャー初勝利のダスティン・ジョンソン選手が優勝トロフィーを手にしたが、この大会に対する選手たちの、心の在り方はどうだったのか。

ジョンソン選手と、他の選手とは、心の在り方にどの様な違いがあったのか。

 

今年のU.Sオープンを振り返れば、ファイナルラウンド、単独リーダーのシェーン・ローリー選手に対して、ジョンソン選手は、4打ビハインド。

メジャーの4打差は、あってないようなものと言われるが、1打でも伸ばさなければ、優勝は難しいと考えるのが、普通。

 ジョンソン選手は、どう考え、どう向き合ったのだろうか。

4打差が有りながら、バック9に入り追いつかれ、自滅して、優勝を逃したローリー選手は、U.Sオープンに対するプレッシャーなのか、経験の差なのか。

ラウンド3終了時点で、ジョンソン選手と同スコアで、最終組だった、アンドリュー・ランドリー選手は、スタートから2連続ボギーで、フロント9を7オーバーとなった時点で、絶望感に打ちひしがれたのだろうか。

3人共に、メジャー初制覇への挑戦であり、経験から言えば、ジョンソン選手は、昨年のU.Sオープンで、ファイナルラウンドは最終組でスタートし、最終ホール、4m弱のイーグルパットを決めれば優勝だったが、外し、返しの1m強のバーディパットも外して、辛酸をなめた。

他の二人には、メジャーでの優勝争いの経験はない。

 メジャーでの優勝争いの経験と言えば、セルヒオ・ガルシア選手、リー・ウエストウッド選手は、届きそうで、届かない経験を何度もしている。

ジョンソン選手は失敗から多くを学び、ガルシア、ウエストウッド選手は学んでないという事か。

 

勝てなかった人と、勝てた人の心の在り方の違いとは、一体何なのであろうか。

この違いを理解するには、両方経験する以外にはないのだろうか。

第3者の力を借りて、心のコントロールなど可能なのだろうか。

 

世界中の脳科学者や心理学者は、デジタル技術向上の恩恵を受け、様々な実験をして脳の活動領域を測定し、脳の働きを科学的に証明する事で、今までの常識を覆している。

日本には、古くから精神修行であったり、気合いや根性で乗り切るなど、科学的に証明されない事が重んじられてきた。

根性では乗り切れないし、精神修行や写経をした所で、心が鍛えられるとは、考え難いが、経験した事の無い、味わった事もない出来事に対する、学者先生の理論を鵜呑みに出来るだろうか。

 

予防医学者の石川善樹氏は、心理学では、ネガティブな感情は人の思考をロジカルにすると言う。

ネガティブだと狭い範囲の事を地道にロジカルに考えられ、ポジティブだと直感的に物事を捉えるので、狭い範囲のロジックではなく、広い範囲のパターンで考えられると言う。ここで大事なのは、どちらが良いという事ではなく、ポジティブ感情とネガティブ感情を使い分ける事であって、人の思考法自体は、ロジックが先か直感が先かの2つしか発見されていないと言う。

 

イギリスの哲学者、フランシス・ベーコンは観察や実験などを繰り返し行い、経験を積むことで真理に到達する帰納法を唱え、フランスの哲学者、ルネ・デカルトは仮説を立て、それを論理的に考える事で心理を導き出す演繹法を唱えた。

 

USPGAツアーの選手達に一番近く、選手心理を肌で感じているのは、アメリカ在住のゴルフジャーナリスト舩越園子さんではないか。

舩越さんが、USオープン終了後に現代ビジネスに掲載した記事が興味深い。

gendai.ismedia.jp

あまり感情を露わにしないジョンソン選手。

記事中にある、ジョンソン選手のコメント「存在していたのは僕とコースだけ。戦う相手はコースだけ。他のことは僕には何一つコントロールできない。」

 

松山英樹選手は「練習では自信満々になってスタートできるけど、だんだんだんだん1ラウンドが終わったころには(その自信は)ほとんどないぐらいになっている。そういうラウンドが続いている」

 

道上伯氏は言った

「柔道の最終的な目的は、心技体の練成であり、それによって立派な人間になることである。技術を習得するには強靭な精神力が必要である。苦しさに耐えて修行を続行しなければならない。それによって体力もできるとともに心ができ武士道がわかってくる。」

 

仮説を立てた練習と経験による本番での直観、外的要因に影響を受けることなく、感情をコントロールする術を身に付ける事が勝者への道なのか。

勝者には心技体が揃い、敗者はどれかが欠けていたのだろうか。

技術的な裏付けがあり、思考法を身に付ける事が勝者への近道かもしれない。

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