ゴルフ哲学

ゴルフ上達方法は、沢山ボールを打つ事ではありません。人が行うゴルフスイング動作は特別な動作ではなく、issueを特定し、知覚と意識に目を向ける事が上達には欠かせません。

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手考足思

支えると押さえる

武道や格闘技をはじめ、多くのスポーツ競技には構えと言われる過程がある。

この構え、アマチュアとプロフェッショナルの違いを端的に表す指標となる。

ゴルフの場合、グリップを見ればハンディキャップが判断出来るとも言われる。

古くからグリップは、図解や写真を利用して解説入りでレッスン書に散見される。

親指と人差し指で出来たVの字はどこどこを指す、クラブを握って左手のナックルがいくつ見えるか、オーバーラッピングがいいのかインターロッキングのがいいのか、ショートサムなのかロングサムなのか、小鳥を包み込むような強さなど枚挙にいとまがない。

グリップトレーナーという商品がいまだにあるが、30年以上前から存在する。

確かにゴルフのグリップは特殊と思うが、これらの解説は全て、教える側が教わる側を理解させる上での、便宜上の指標となっているだけで本質ではない。

又、グリップに必要以上の力を入れないは、教える側の常套句である。

では、どれぐらいの力を入れるのか、具体的で説得力のある答えはなかなか見受けられない。

練習を重ねるうちに身に付くのが、通説となっている節がある。

それを打開するには、ゴルフのグリップは握力把握と精密把握を利用したグリップであり、この2つの特性を理解することが納得を得る方法ではないか。

バット握りの様に、親指と人差し指をグリップから外してボールを打ってみると、違和感はあるものの慣れてしまえば普通に打てるが、飛距離が2~3割ほど落ちる。

一方、人差し指と親指だけを使ってグリップして打つ事は大変困難で、まともに打てない。

始めから握力把握でグリップして練習を重ね、クラブを1本だけ使うのであればコースラウンドも可能だろうが、ゴルフが発展して、人々に長きにわたって支持されることはなかっただろう。

では、人差し指と親指の役割は、どこにあるのだろうか。

人差し指と親指は、他の3本の指より感覚が鋭い。

人差し指も親指同様、日常生活で物を支える役目をする。

ゴルフを始めた頃、人差し指と親指に出来るV字の重要性を聞かされた。

どこが重要なのか意味の解らぬまま、上達に必要だと思い込み、親指の付け根にコインを挟み、無駄な1日を過ごした事がある。

 ゴルフスイング動作中に、グリップの把握力は変化するのだろうか。

把握力は必ずしも一定ではないだろうが、スイング動作中に握力把握と精密把握、それぞれを強調する段階が別となる。

そして、ここが重要だが、それはクラブによって異なる。

スイング動作は、クラブを動かして、ボールを打つ動作であるから、動かす時に体のどこかに力を入れて動かす必要がある。

クラブが動き出せば、どこかでクラブを支える必要が生じる。

クラブを握った瞬間に感覚が呼び起され、体のどこかを使ってクラブが動き出し、クラブが停止するまで、体のどこかで支えるのがスイング動作となる。

そして、体のどこかの部分を間違えてしまえば、イメージした動作、イメージした飛球結果を得ることが出来なくなる。

 

身体を動かすのには、ある目的によって脳が神経を通じて、筋肉に指令を出す訳だが、動作を俊敏に行うには、脳からの伝達がスムーズに行われる必要がある。

筋肉トレーニングは、ある部分の筋肉に負荷をかけて筋力を強化する行為で、終動、中動負荷で行うトレーニングが一般的である。

イチロー選手が活躍して、注目されたのが初動負荷トレーニングだが、初動負荷トレーニング用に開発されたマシーンを利用して、運動の初期段階に筋肉を弛緩し、その後に負荷を掛け、その後負荷を漸減させる方法である。

終動負荷は、一定の負荷で動き始め、動作の終わりにかけて負荷が最大になる様に動作する方法。

スポーツの動作は、動きの初期段階で適度の負荷を掛け筋肉を緊張させ、その後、動作中は瞬間的な筋肉の緊張と弛緩を、身体の様々な部位で繰り返し行う。

ボディビルダーのように、筋肉肥大が目的の鑑賞用筋肉であれば、終動負荷が適切で、スポーツに適した筋肉を鍛えるのであれば、初動負荷が適していると言えるだろう。

初動負荷理論の提唱者で、ワールドウィング代表小山裕史氏は、イチロー選手の凄さは、きっかけ作りの天才だという。

小山氏は、動作を始める時に筋肉が緊張していると、脳とのバランスを崩すので、動作の初めに如何に筋肉を緩めるのかが、トレーニングだという。

小山氏が発明したトレーニングマシーンは、負荷を利用して最初に筋肉を弛緩させることで、筋肉が緩んだ状態で伸び縮みし、脳が先行指令して動作の指示をすると言う。

動作とは、動作を行う前に活動する筋肉に脳が指令を与えて、先行活動させている。

運動能力が高い人とは、脳と神経と筋肉の連携がスムーズで、連携に掛かる時間が運動能力の差であると言う。

 

動き出すきっかけは、どんな方法でもいいが、常に同じ方法が望ましいだろう。

ワッグルでもフォワードプレスにしても、スムーズに動作に入ることが出来、意識から無意識に変われば、集中した状態を保って動作を完結させられる。

動き出すきっかけのスイッチは、体のどの部分が最適なのかと問われれば、手であると言える。

 

陶芸作家の河井寛次郎氏は、オーストリアの教育者であるルドルフ・シュタイナーの「わたしたちは、手で考え、足で思うような境地に至るまで努力を続けてゆかねばならない。」との言葉を『手考足思』と表現した。

 

スイング動作中に、クラブを支えると押さえる役目をする、人差し指と親指。

両手の人差し指と親指だけで、クラブを摘まみ、右肩上部(右利きの場合)に担ぎ上げた時、人差し指と親指をどの様にして使っているのかを見れば、グリップの良し悪しが判断出来る。

その時、人差し指と親指のどちらを主体にクラブを支えているかによって動作の質が変わる。

右利きのゴルファーならば、右手人差し指でクラブを支え、左手人差し指でクラブを押さえて、クラブのバランスを保てれば正しい。

もし、両手親指に加重の殆どが掛かっていれば、スイング動作の切り返しで、親指にクラブの加重が掛かり、感覚が呼び起されることになる。

親指に加重が掛かると、スイング動作の切り返しでクラブヘッドの動きは大きくなり、感覚とクラブヘッドの動きに時間差が生まれる。

この時間差は、インパクトまでに修正するのは困難で、感覚にズレが生じる。

 

握力把握はどうだろうか。

握力把握でクラブを支える、押さえる役目をするのは、どこだろうか。

クラブを支える、押さえる役目は、構え~動作中に変化する。

構えの段階では、指でクラブを支えることになるが、スイング動作の切り返しでは、小指の付け根にある関節でクラブを押さえ、感情線の下に位置する手のひらの厚みがある部分によって、クラブを支えることでバランスを取る。

精密把握、握力把握共に、支える部分と押さえる部分を明確にすれば、スイング中クラブの動きは安定し、無駄な感覚を呼び起こすこともない。

スイング中にクラブの存在を感じるのは、プレショットの段階とインパクト前後、フィニッシュの段階が望ましく、他の段階で感じるのは、悪い感覚を呼び起す。

手の感覚は、動作全体に於ける身体のバランスと力に影響する。

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