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ゴルフ哲学

ゴルフ上達方法は、沢山ボールを打つ事ではありません。人が行うゴルフスイング動作は特別な動作ではなく、issueを特定し、知覚と意識に目を向ける事が上達には欠かせません。

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予想外のことが起こるので、その時にうまく対応できるかどうか。

今と昔

人は何かの目的を達成する為に道具を作り、その道具を使い、進化させてより使いやすく改良を繰り返し、人間社会は発展してきた。

商業目的と顧客ニーズが一致すれば、存在する市場で受け入れられる。

 どの市場でも同じと思うが、新しすぎればなかなか受け入れられず、現状あるものでも少しの改良で、欲を刺激するものであれば歓迎される。

また、人の心は得てして、熱しやすく冷めやすい。

そして、消費に関しては、合理的に物事を考える人でも、不合理になりやすい。

心理学と行動経済学の教授であるダン・アリエリー氏は著書「予想どおりに不合理」の中で、人は何でも比較して選択したがるが、比べにくいものは無視する傾向があると言う。

また、人は自分がほんとうに求めているものでなくても、無料になると不合理にも飛びつきたくなるのはなぜかをテーマに実験を行い、その不合理な行動を解明かす。

様々な比較サイトや評判などを調べ、少しでも得をして商品を買うことに慣れている現代人ではあるが、果たしてその消費行動は合理的なのか?!

 どのような事象に対しても、認知バイアスや確証バイアスが判断能力を鈍らせる。

人の脳には脳幹網様体賦活系なる部位が存在し、五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)からインプットされる情報を取捨選択して、そこで重要と判断された情報は意識として残り、重要と判断されなかった情報は、五感で感じても意識として残らないらしい。

 不合理な消費行動を裏付ける証拠なのか。

技術革新によって、人間社会の環境は大きく変化し、更に倍速で変化している。

道具で言えば、ゴルフクラブやゴルフで必要になるあらゆる”もの”が進化し、受け入れられ、進化できないものは、忘れ去られる運命にある。

ゴルフクラブヘッドの形状や素材、シャフトの素材や製造方法、ゴルフボールの大きさ、素材、製造方法やディンプルデザイン、ゴルフグローブ、シューズ、ティペグに至るまで、ゴルフコースの環境も半世紀前と比べれば大きく変わった。

ゴルフプレーに必要なもので、半世紀以上前から存在する代表的なものは、木製のティペグぐらいしか思い浮かばないが、ボールやゴルフクラブの進化は徐々に鈍化している感がある。

数年前まで、シャフト交換が工房に持っていかなくても出来てしまうなど想像もつかなった。

 

ものの技術革新に対して、スイング動作に対する技術革新は起こったのだろうか。

起こったとすれば、どの様な影響を受けて、どの様に変化したのだろうか。

技術革新で起こった事は、人の欲を考えれば、不可逆的であるわけだが、ゴルフゲームの本質は、ゴルフコースが誕生して、13か条のルールが制定されてから変わっていない。

ヒッコリーシャフトからスチールシャフト、スチールからグラファイトシャフトに移り変わり、定着しているが、今更、ドライバーのシャフトをスチールにする人はいないだろう。

シャフトの進化が、スイング動作に影響を与えたと言われる。

道具の進化に対して、対応能力があるのが人であるから、ゴルフクラブやボールの変遷に対して殆どのゴルファーは、対応し使いこなしてきた。

新しいボールや最新のクラブに変えることで、欲は満たされるが、期待と願望が満たされるには、他の方法を考えるのが、費用対効果は高いかもしれない。

それでも、ツアープロの飛距離は相対的ではなく、明らかに伸びているし、飛距離の影響なのかスコアも伸びているのは確かである。

2016年8月に行われた、PGAツアーのトラベラーズ選手権で、ジム・フューリック選手がPar70のコース開催で「58」を記録し、PGAツアー最小ストローク記録を更新した。

プロツアー記録では、2010年の中日クラウンズで同じくPar70での開催コース最小ストローク記録58を石川遼選手が記録している。

プロツアーでは、この夢の50台を公式記録として初めて樹立したのが、1977年のアル・ガイバーガー氏がPar72のコースで出したスコア59である。

この時のゴルフクラブ、ボールは、今の物とは比較にならない代物である。

その後にPGAツアー記録として、スコア59を達成している選手は、5名しかいない。

2000年以前が3名で、2001年以降が3名である。

LPGAツアーでは、2001年にアニカ・ソレンスタムプロのツアー記録59である。

ソレンスタムプロは、現役時代に全てのホールでバーディをと提唱する、54ビジョンをこの記録によって、ほぼ実現したと言ってもいいのではないだろうか。

残念ながら、PGAツアー公式記録として残ってはいないが、丸山茂樹プロも2000年のU.Sオープン予選会でPar71のコースで58を記録している。

ツアープロならば、プライベートRoundであれば、50台を出している選手は多いかもしれないが、ゴルフツアー150年余りの歴史の中で、10名以下というのは如何に難しいかということだろうし、フューリック選手の2回達成は凄いことだろう。

 

スコアと飛距離の相関性は、コースの全長やセッティングも道具の進化と共に変化しているので、導き出すのは困難だが、飛距離が伸びたファクターはなんだろうか。

1980年代以前のゴルフクラブやボールは、2000年以降のものを使用した場合と比べ、飛球高さが変わったことと、スピン量が変わったことが最大のファクターと言える。

人は変化を受け入れ、そのことに慣れてしまえば、それ以前のことなど忘れてしまう。

実感として薄れてしまえば、更なる欲が芽生える。

昔のクラブやボールは、飛球の高さやボールが飛んでいく姿が、ヘッドスピードによって今より、明らかに違っていた。

ボールを高く上げるには、技術と高く上げるスイング動作が必要であった。

その技術と、スイング動作を体得するには、多くの練習が必要であった。

人は欲望に突き動かされ、より便利に、欲が満たされるようにあらゆるものに対して改良を重ねたり、また今まで存在しなかった新しいものを作り出してきた。

その都度、改良されたもの、新しいものに人は、上手く順応してきた。

 

ips細胞開発でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授と、プロ棋士羽生善治氏との対談で、将棋のルールが確立されたのが、今から400年ほど前で、羽生氏の説明によると、現在も基本的なルールは、変わっていないと言う。

ゴルフの歴史より古い将棋であるが、ゲームとしての思考方法には、共通点があると思う。

今と昔のトップ棋士が対決したらどうなるのかとの山中教授の質問に対する、羽生氏の答えが興味深く、羽生氏曰く、今と昔と比べれば、知識の力は確実に現在のが上がっている。

100年前の棋士が、現代に来ても知識の違いに圧倒されるが、3年~5年間で今の将棋に馴染めば、同じになるだろうと言った。

更に、知識の部分と未知の部分の対応力が必要で、未知の部分の対応力に関しては、トップ棋士であれば今も昔も変わらないだろうと言い。 

対局の際には

『先を読んでもすぐに何千、何万手という手の数になるので、一つの局面では二つか三つの手しか考えてなく、ほとんど勘で、そこでどれくらい精度の高い判断ができるか。』

コンピュータ将棋のデーターベースは、10万局だそうだが、羽生氏が言うほとんど勘の勘は、感覚ではなく知覚であって、普通の人が考える勘とは違う。

未知の部分の対応力は、優れた知識の蓄積の上に成り立っていて、ただ多く長く経験しただけでは、データとして何の役にも立たず、自己満足の域を出ることはない。

残念ながら羽生氏は、コンピュータ対決の竜王戦出場は叶わず、叡王戦の準決勝で敗退してしまい、コンピュータとの対決を見る事は出来ない。



どの世界でも、新しいものへの対応能力は、上達の秘訣となるであろう。

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