ゴルフ哲学

ゴルフ上達方法は、沢山ボールを打つ事ではありません。人が行うゴルフスイング動作は特別な動作ではなく、issueを特定し、知覚と意識に目を向ける事が上達には欠かせません。

このエントリーをはてなブックマークに追加

稽古は強かれ、情識はなかれ

習い事と稽古

習うの語源は、学ぶの語源と同じで学ぶ=真似ぶ、習う=倣うと言われる。

日本の伝統芸、伝統工芸などの職人の世界では、師匠と弟子の関係は、技術は目で見て盗めとか、習うより慣れよの諺が言い伝えとしてある。

ビジネスやスポーツ指導の世界では、ティーチングとコーティングの違いが取り沙汰される。

コーチングスクールの解釈によれば、

コーチングとティーチングの違いって? | NLPコーチング協会

端的に解釈すれば、ティーチングは教えることが主体で、コーチングは能力を導き出すこと。

言葉は、受ける側や使う側の解釈によって、意味合いが微妙に変わってしまうし、使うシチュエーションによっても変化するが、正しい意味を理解して使いたい。

日本には、古事記に記載されている「稽古」という言葉がある。

「古を考える」が原義で、「昔のことを調べ、今なすべきことは何かを正しく知る」となる。

”稽古”の言葉自体は古い感じを受けるが、言葉の本質を理解すれば、言葉の古さなど感じない。

先人が残した言葉は、時代や時空を超えて、いつの時代にも心に響き、心に残る。

ゴルフスイング動作を考える上でも、著名なProfessionalゴルファーの写真や今では動画サイトを調べれば多くの著名ゴルファーのスイング動画を見ることが可能となった。

ゴルフスイングフリークには、最高の環境となったが、果たして、この行為は、ゴルフ上達に役立つのか、それともさらなる迷いを生むのか。

多くの練習時間を確保するVS多くのスイング映像を分析する、どちらに有意義な時間を使うことで”ゴルフが”上達するのか、両方を実行した立場から言えることは、限られた時間を有効に使うならば、その道の達人を見つけることかもしれない。

人の動作や行動は、思ってる以上に再現性が高い。

意識的な動作や行動は、緊張感が生まれて、ぎこちなくなり再現性は低い。

だが誰しも、無意識に再現性の高い行動をしていることはないだろうか。

出来そうで、出来ないことを習慣化させるのは困難だが、あまり有益でないことなのに気付かないうちに、習慣となっていることがないだろうか。

そして、無意識に行っていることが、意外と再現性が高かったりする。

必要に迫られたタスクであったり、車の運転、家事、物がある場所を特定したりすること。

そして、それは人のDNAに刻み込まれて誰しも持っている能力ではないのか。


この画像の、工芸品がいつの時代の物か、お解りになるだろうか。

16世紀にヨーロッパの職人が、携帯可能な信仰用具として作成したらしい。

どの様な、道具を使って製作したのかは定かでないが、驚きでないだろうか。

手先の器用さ、触覚は将来、AIに仕事を奪われる人の最後の砦と言われる。

百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏が、現代ビジネスに寄稿する記事で、人工知能時代に生き残る人を興味深い視点で説明している。

gendai.ismedia.jp

指先の感覚は、工芸品や芸術作品を創り出すだけではなく、人々は生活する上では欠かせない感覚であるし、あらゆる活動をする上で、重要な部位である。

手や腕を主体にするスポーツでは、上達には欠かせない感覚であり、ゴルフに至っては、グラブとの唯一の接点は、手しかない。

イップスになるのも、手の感覚が麻痺し、何かおかしいと感じて始まる。

イップスは、ゴルフだけではなく、多くのスポーツ競技で見られると思うが、一般的な原因とされる解釈は、精神面となる。

果たしてそうだろうか、先ずは感覚的に何か違和感を感じるところから始まるのではないか。

それが、増幅して精神的なダメージとなって、明らかな行動として現れるのではないか。

ゴルフの場合、イップスはパッティングやアプローチが多い。

そして、イップスになるゴルファーには、天才的なゴルフセンスの持ち主が多い気がする。

ジャンボ尾崎プロが、復活の狼煙を上げた、1988年シーズンの日本オープンでの出来事。

デイリースポーツonline/1988年日本オープンジャンボは仕切り直しを恥じている/佐野木計至

前年まで長いスランプに苦しみ、トンネルを抜け出そうと望んだシーズンでの出来事。

最終日は、AON対決で最終ホールまで1打差の接戦、ゴルフ史に残る名勝負。


何度見ても、見る側まで緊張してしまうが、この時、この場面にいたギャラリーは解っていない。

1度目は仕方がないが、2度目は、笑う場面でないことは、ゴルフを深く理解していればわかると思うのだが、マナーは良くてもこれでは、欧米にギャラリーのゴルフ理解度でも遅れている。

もしもなどと考えることではないが、あの日本オープンで尾崎氏は、勝っていなければ、イップスと闘うこととなり、ゴルフ史は大きく変わっていたかもしれない。 

尾崎氏がシーズンオフの時に、グリップを握る動作を繰り返して、手の感触を確かめる場面をテレビニュースや雑誌でよく目にした。

この行為は、イチロー選手も同様で、試合中にベンチで一人バットを握り、感覚を確かめる姿が、映像で見受けられることがある。

 丸山茂樹プロは、PGAツアー参戦後、タイガーウッズ選手の影響も大きいと思われるが、トレーニングで身体を絞った。

ツアー参戦後2年目から3年連続で、PGAツアー勝利を挙げたが、勝てなくなればトレーニングに対する否定的なメディアの取り上げなどがあった。

当時、丸山選手はトレーニングの目的の1つには、パッティングの安定があると答えている。

パッティングは、ゴルフスイング動作の中で、体幹の動きが一番少ないのに関わらずに、体幹を鍛える理由として、強風などで身体がブレないように、欧米のパッティングの上手な選手はブレがないとの趣旨のことを説明している。

ゴルフを始めたばかりの人は、パッティングでも体幹と手先(手首~指)を使う。

練習を重ねるうちに、腕が使えるようになり安定してくる。

だが、距離感やインパクトの強弱は、手が主導になっている。

このために、パッティングはイップスに陥りやすいと考えられる。 

丸山プロは、10年余りに渡り、ドライバーイップスと闘っている。

丸山プロは、イップスの原因をトラウマと自己分析する。

12歳よりゴルフでの勝負の世界に居続け、ネガティブ要素が溜まってしまいトラウマが除去できない状態だという。

その後、克服するために、ハードワークとなり左親指の亜脱臼を起こし、それ以来、スイング動作中のどこかで、手がスイッチとなりイップスとなると言う。

 

『稽古は強かれ、情識はなかれ』

能役者、能作者である世阿弥が残した、能楽論「風姿花伝」の序文より

このエントリーをはてなブックマークに追加